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東山一番星

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04.08.21:22

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03.20.01:21

大城Ⅱ‐2

「芳野は、どうかしたのか」

乙女という言葉は彼女のために作られた言葉に違いないと思わしき、オンナノコオンナノコした芳野だが、人前で軽々しく涙を見せないだけの慎みもまた持ち合わせていることを、知っている。涙を武器としない慎みは、車のクラクションを使わない慎みと同じである、と大城は思う。使えるからといってなんでも使えばいいってもんじゃない。

 「どうもしてませんよ。ホラ、ちょっとお買い物に出てたんです」芳野はそう言ってビニール袋を持ち上げた。「今日の晩は水炊きですからね」

 「一人で鍋か?」最近はめずらしくもないだろうが。

 「いいえ?違いますよ、森尾さんですよ」

 「二人鍋?」しかしまだ鍋の季節というには早いだろうに。

 「人数はわかりませんけど…パーティーというくらいですからたくさん来るんじゃないですか。なんでも今日、イタリア人の新しいお友達ができたから、歓迎パーティーをするとか。大人数だからオーソドックスな水炊きにしたんじゃないですかね」

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03.22.11:19

小原Ⅱ

 バイト中と分かっていて「時間ある」も何もないだろう、と小原は呆れた。その確認はむしろ失礼というものだ、と強く注意できないでいるのは、ひとえに森尾がひとしおならぬ恩のある先輩だからだ。畳みかけの垂れ幕に向き直ってから、小原は当然のように首を横に振った。当然のようにそれを無視して森尾は喋り始めた。

 「さっき新しい友達ができた」

 いつもいつも、そうやって、虫を集める夜の蛍光灯みたいに簡単に、どうして友達ができるんだよ。

 「俺はトンカツ屋でそれとなく出されるアツアツのほうじ茶のように、完璧だからな」

 森尾が小原の内心を読み取ったかのように言葉を続けた。多くの場合と違い、森尾が喋るとき小原はどことなく、着ぐるみを脱いで普通に会話しているときと同じような感覚になる。そしてそう感じるとき、小原は考えていることが漏れないようについ、前足を胸にあててしまうのである。

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